皆さん、こんにちは!夜野すてらです。今回は、「メディア・リテラシーかるた」を小学校で実施してみた様子をお伝えします。子どもたちがどんな変化や気づきを得たのか、一緒に見ていきましょう!
私たちは生活の中で様々な媒体から情報を受け取ったり、発信したりしています。そんな世の中で生きる私たちが情報を扱う上で活用する能力をメディアリテラシーといいます。総務省(総務省|放送分野におけるメディアリテラシー (soumu.go.jp))によると、メディアリテラシーとは、
- メディアを主体的に読み解く能力。
- メディアにアクセスし、活用する能力。
- メディアを通じコミュニケーションする能力。特に、情報の読み手との相互作用的(インタラクティブ) コミュニケーション能力。
の3つを構成要素とする複合能力とされています。
InstagramやTikTokなど、簡単に自分のことを発信できるプラットフォームが身の回りに存在していたり、情報にすぐにアクセスできるスマートフォンを多くの人が所持している今やこれからの時代を生きていく上では非常に重要な能力です。
メディア・リテラシーかるた(「メディア・リテラシーかるた」できました | ステラnet (steranet.jp))とは、NHK財団が開発したメディアリテラシー教材です。絵札の表にはかわいいイラスト、裏にはポイントや解説が書いてあり、遊びながらメディアとの付き合い方について学ぶことができます。
授業の進行
メディア・リテラシーかるたの推奨学年は小学5年生以上だそうですが、今回は小学4年生約30人と一緒にチャレンジしました。自分自身のスマートフォンや端末を持っている子は少ないものの、家や学校でインターネットを使用しながら学習をしたり、YouTubeを楽しんだりした経験は多くの子があるようでした。
読み札を予想する
まず、最初に子どもたちに、いくつかかるたの絵札のイラストだけを提示して、その読み札を予想してもらいました。例えば…
★「あ」の札
…「アップで撮った笑顔の写真 どこへ旅行したときの?」
(家族の表情をアップで撮影した写真と、背景とともに写っている写真を比較したイラスト)
Aさんの予想…「アップとルーズどっちがいいか?」
国語の説明文でアップとルーズについて考える説明文があり、そのことを思い出して書いてくれたようです。習ったことをもとに予想を立てていて素晴らしいですね。
★「し」の札
…「証明写真はきれいに加工してもよい?」
(通常の証明写真と加工した証明写真を比較したイラスト)
Bさんの予想…「しゃしんをくらべたら下の方がきれいだ」
確かに加工した顔写真の方がきれいに見えますね。ただこのきれいさがよいとされる場合とそうでない場合があります。Bさんはかるたで遊んだ後にそのことに触れて考えが変わったことを書いてくれていますので、後ほど紹介できればと思います。
★「な」の札
…「なぜちがう?わたしとママへのおすすめ動画」
(動画サイトのおすすめ動画を比較しているイラスト)
Cさんの予想…「なかよしでも見たいものはちがう」
確かに、人によって見たいものは変わってきますね。そのニーズに応えるように、動画サイトがおすすめしてくれる動画も個人によって変わってきます。子どもたちがその良さや危うさ、自分自身が気を付けることまで認識できるようになるといいなと思いますね。
★「よ」の札
…「読みたいもの見たいものだけあなたに見せるインターネット」
(サッカー選手がサッカーのことを検索しているイラスト)
Dさんの予想…「要チェックする」
もちろん、メディアリテラシーを学習することが初めてなので、イラストを見ても何を意味しているのか分からない子もいるようでした。Dさんもあまり意味は分からなかったみたいです。でも、「自分もサッカーが好きだから検索しているときのことを思い出した。」と教えてくれました。
かるたで遊ぼう!
みんなで読み札の予想をした後、グループごとでメディア・リテラシーかるたで実際に遊んでみました。いつも休み時間は外で遊んでいる子どもたち、かるたをやるのは久々だったようですが、楽しみながら遊んでいました。
メディアリテラシーとは関係ありませんが、とる前にはみんなが頭に手をのせる、同時に取ったときはじゃんけんで決めるなど、指示がなくても自分たちで工夫して遊んでいました。えらいですね。
絵札をとりながら、裏の解説を見る子、かるたと自分の生活を比べながら友達と意見交換をする子と、各々が興味を持ちながらかるたの意味を理解しながら進めているようでした。
子どもたちの振り返り
かるたで遊び終わってから、気になったもの・興味を持ったものを自由に見返しながら、振り返りをする時間をとりました。先ほど「しゃしんをくらべたら下の方がきれいだ」と絵札の予想をしてくれたBさんは、予想の下に「画像加工はどんな場面で、どの程度の加工なら問題ないのか考える。」と書き加えてくれていました。学んだことを自分の言葉で表現しているところが素晴らしいです。
最後に、子どもたちの振り返りをいくつか紹介します。
☆Aさん
「見た目などや本当に信じていいのかなど、書いてありました。その中で思ったことは、よく見分けたりしたり、そのようなことをもっと調べてみたりしたいです。」
自分がこれから気を付けたいことを書いてくれました。また、かるたで遊ぶことを通して、メディアリテラシーに興味を持ったようです。自主的に調べてみようという気持ちが表れていますね。
☆Bさん
「ニュースでも本当のことを言っているのか確かめてから見ようと思いました。」
証明写真について書いていたBさん。情報の受け取り方についても気づきがあったようです。情報を受動的に受け取るだけでなく、考えながら受け取ることが重要ですね。
☆Cさん
「いつもは、ニュースに書いてあることが本当だけど、本当じゃないものがあるのも分かった。」
ニュースが間違っていることもあるというのは、かなり多くの子どもたちの中で衝撃だったようです。他にも、ニュースが必ずしも正しいわけではないということに関して振り返りを書いてくれている子が多くいました。
☆Dさん
「よく見ることが大切」
メディアリテラシーについて、これまであまり考えたことのなかったDさんも、よく見て考えることが大切だと考えたようです。授業で調べ学習をするときにも、この考え方を活用できると嬉しいなと思います。
まとめ
メディア・リテラシーかるたを使った授業は、子どもたちの興味を引き、楽しい学びの場となりました。今回は印刷してみんなで使ったのですが、気に入って「持って帰りたい!」と持って帰る子も多くいました。
これからも、学校の休み時間や家庭で遊びながらメディアリテラシーについて学んでくれるといいなあと思っています。
ぜひ、みなさんも遊んでみてください。
ちなみに、以下からダウンロードできます。
「メディア・リテラシーかるた」できました | ステラnet (steranet.jp)